山下内科の山下です。今回は「水溶性食物繊維、発酵食品」です。
この度、当院では、便秘治療、特に出口の便秘(直腸・肛門)に着目した新しい治療法(ある座薬を使用)を提供することができます。この治療法により、副作用なく治療が進められ、便秘は改善していきます。
しかし、注意しなければいけないことは、便秘というのはは出口の便秘を治しつつ、良い便をつくる生活習慣の改善で良くなっていくということです。良い便をつくる生活習慣とは食事・運動・睡眠・ストレスなどの改善のことです。便秘解消には総合戦略で行く必要があるのです。それでは、食事の改善についてです。
[ 水溶性食物繊維 ] 便秘解消には食物繊維は重要な食品です。食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は、便のかさを増やす役割を持っていて、腸の運動を活発にしてお通じを整えてくれます。水溶性食物繊維は、水溶性なので腸の中でゲル状になり、ゆっくりと着実に便を先に進めてくれます。又、栄養素の吸収がゆっくりとなり、食後血糖の上昇をおだやかにする働きがあります。お通じを整えるためには、両方の食物繊維が必要となりますが、特に、水溶性食物繊維の摂取を忘れないようにすることが重要です。
水溶性食物繊維としては、ひじき・寒天・のり、わかめ・昆布・もずくなどの海藻や、オクラ・長芋・里芋・こんにゃく・アボガドなどがあります。
[ 発酵食品 ] 次に、便秘解消には発酵食品が重要な食品です。腸内環境を整えるのに、よくビフィズス菌や乳酸菌などのサプリメントがすすめられます。しかし、腸内は一つの生態系であって、その中に急にたくさんの腸内細菌がサプリメントとして入ってくると、腸内の生態系が乱されてしまします。したがって、便秘のように腸内環境の悪い人が急にサプリメントのプロバイオティクスを摂取すると、うまくいかずに帰って調子の悪くなるケースが多いのです。
日本人には、これまで古くから摂ってきた味噌・しょうゆ・漬物・酢・納豆・甘酒・キムチなどが良いと思います。しかし、この発酵食品も摂りすぎに気をつけて、様子を見ながら徐々に量や種類を増やしていき、じわじわと腸内環境を改善していきましょう。
水溶性食物繊維を含めた食物繊維と発酵食品を徐々に増やしていき、腸内を糠床(ぬかどこ)のような状態にして便秘を解消していきましょう。